抄録
本態性高血圧に対する治療として, 薬物療法, 食事療法などがあげられるが今回我々は針の持つ降圧作用に着目し, その降圧効果について検討した。対象は明らかな基礎疾患を有しない本態性高血圧患者並びに健康成人をWHOの基準に従い, 高血圧群, 境界域群, 正常群に分類した。方法は耳介角窩内降圧点に皮内針を水平前方に刺入留置し, 一週間毎に血圧測定, 皮内針を交換し, 二週間をもって判定し, 著効, 有効, 不変, 悪化の四段階で評価を行った。その結果, 昭和56年11月から57年5月までに治療した症例は29例で, 高血圧群, 境界域群の患者では, 著効26%, 有効44%で, 本法による降圧効果を70%に認めた。