人工臓器
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血漿濃度、除去量、クリアランスによる評価法の差異
峰島 三千男山下 明泰酒井 清孝
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1983 年 12 巻 1 号 p. 41-44

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抄録

血液浄化療法による体内老廃物の除去効果やモジユールの性能評価を行う場合、その評価指標としては血漿濃度、除去量、クリアランス(またはダイアリザンス)などが一般に用いられている。しかし、これらの指標はそれぞれ一長一短があり、1つの指標だけで除去効果を論じたり、あるいは誤つて用いた場合には、大きな誤解が生じることも少なくない。そこで本研究では“HD VS. HF”を1つのテーマとして取り上げ、各指標の特徴を比較検討した。コンパートメントモデルを用いた解析の結果、尿素、Vitamin B12とも除去量では両治療間で大差がなかつた。尿素については安定血漿濃度レベルがHFの方が高く、除去率ではHDの方がはるかに優れていることがわかつた。一方、Vitamin B12では、総体液の2/3以上を占める細胞内液からほとんど除去されておらず、両治療の除去率の差異もほとんど認められなかつた。従つて、HD、HFをクリアランスで比較する従来の考え方には疑問が残つた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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