血液浄化療法による体内老廃物の除去効果やモジユールの性能評価を行う場合、その評価指標としては血漿濃度、除去量、クリアランス(またはダイアリザンス)などが一般に用いられている。しかし、これらの指標はそれぞれ一長一短があり、1つの指標だけで除去効果を論じたり、あるいは誤つて用いた場合には、大きな誤解が生じることも少なくない。そこで本研究では“HD VS. HF”を1つのテーマとして取り上げ、各指標の特徴を比較検討した。コンパートメントモデルを用いた解析の結果、尿素、Vitamin B12とも除去量では両治療間で大差がなかつた。尿素については安定血漿濃度レベルがHFの方が高く、除去率ではHDの方がはるかに優れていることがわかつた。一方、Vitamin B12では、総体液の2/3以上を占める細胞内液からほとんど除去されておらず、両治療の除去率の差異もほとんど認められなかつた。従つて、HD、HFをクリアランスで比較する従来の考え方には疑問が残つた。