人工臓器
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小分子溶質除去能の治療法による差異の解明
山下 明泰吉本 達雄安藤 和弘善本 勝男日台 英雄酒井 糾峰島 三千男酒井 清孝
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1983 年 12 巻 1 号 p. 45-48

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抄録

血液透析(HD)および血液濾過(HF)による小分子溶質除去能の差異を明らかにするため, 除去量(M)の概念を導入した。Mは除水量(ΔV)の影響は受けにくいが, 治療時間, 治療前体液量(V(0))に左右され, 治療前血中溶質濃度(C(0))に正比例するため, 溶質除去能の本質的な違いは, 患者を固定して両治療を交互に施行し, M/C(0)の値で評価しなければならない。V(0)≒27l, ΔV≒3lの症例に対するHD, HFの両5時間治療によれば, 尿素窒素の除去率は各々73.1および44.8%とHDがはるかに高値を示すことは周知の通りである。しかしM/C(0)値でも各々19.1および13.4lとHDが高値を示し, HFの小分子溶質除去能の有用性を説いた報告とは異なる結果を得た。またこれらのM/C(0)値が, クリアランス(CL)に対して1本の曲線を与えることより, 溶質の除去能は治療法そのものとは無関係に, CLの差のみによって決定されることが示唆された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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