血液浄化療法において, 溶質除去能を支配する外的因子は人工腎のクリアランス(CL)のみであるが, 生体における溶質除去効果は, 除水量(Δv), 体液量(V), 細胞膜クリアランス(KC)および細胞内外の体積比(VI:VE)で決定される。本報ではCL, Δv, Vに実測あるいは推算値を用いて, 臨床データと最も良く照合するKCおよび(VI:VE)を求めた(尿素, クレアチニン, 尿酸)。HFを利用して行なった今回のシミュレーションでは, 既報に比し高いKC値が得られ, その生体内挙動はこれまで言われてきたプール性よりも, 1-プールに近い傾向が見られた。また(VI:VE)値は尿素, クレアチニンでは約7:3となったが, 尿酸では大きく異なり, 血中濃度の経時変化が(VI:VE)の影響を受け異いことが示唆された。また, 細胞外液量と臨床症状との間に相関があることが予想された。