人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
モジュール内溶質移動に及ぼす赤血球の役割
峰島 三千男新井 信之岡部 正明神品 順二竹沢 真吾酒井 清孝酒井 糾
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 12 巻 2 号 p. 676-679

詳細
抄録

血液浄化療法による患者の治療効果やモジユールの性能を評価する場合、一般に血液サンプリングが施行されている。しかし、得られた血液濃度は血球分離や除蛋白操作を経た後の血漿濃度や血漿水濃度である場合がほとんどである。従つて血液浄化療法によつて血漿濃度が50%減少しても、血球内液では10%しか減少していないこともあり、血漿濃度が誤つた情報を提供する可能性がある。そこで本研究では溶質として尿素、クレアチニンを選び、牛血定常実験により赤血球による影響について調べた。この結果、尿素の赤血球膜透過速度はきわめて速く、クリアランスとしては全血流量QBを用いるべきことがわかつた。一方、クレアチニンはモジユール滞留時間内ではほとんど血球内から流出せず、クリアランスとしては血漿濃度、血漿流量を用いなければならない。クレアチニンに及ぼす赤血球の影響はむしろ治療時間のオーダーで効き、血球とのrebound現象は治療後15時間にも及ぶことがわかつた。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top