人間工学
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長時間拘束直立姿勢保持における下肢筋の機能評価
臼居 利朋坂本 和義永田 晟室 増男
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1984 年 20 巻 4 号 p. 213-223

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抄録

静的持続筋収縮による筋機能低下の評価指標を求めるために, 成人男子10名を用いて45分間の直立姿勢保持を行った. 直立中は自覚症状と下肢筋群 (大腿直筋, 大腿二頭筋, 前脛骨筋, ヒラメ筋) の表面筋電図を調べ, 直立前後においては脛骨神経の電気刺激による腓腹筋の誘発筋電図 (M波, H波) と, 足底の底屈による張力を測定した. 直立中は筋電図の徐波化は認められなかったが, (a) ヒラメ筋の積分筋電図において顕著な増大が認められ, 自覚症状の訴え頻度と呼応していた, 直立後は (b) 最大上刺激電圧における張力 (T) とM波の振幅 (M) との比T/Mが減少し, 筋機能の変化を示し, また (c) H波の最大値 (H) とM波の最大上刺激電圧における値との比H/Mも減少し, 脊髄レベルまで含めた神経・筋の変化を示していた. 比 (T/MやH/M) と自覚症状の訴えや積分筋電図との対応が必ずしも認められなかったことから, 45分間の直立姿勢保持では自覚症状の訴えや積分筋電図の増大は直立姿勢保持により発生したものであるが, 筋電図が徐波化していないため筋機能低下までは表現していない. したがって, 電気刺激により筋機能を100%発揮させて得られた指標T/MとH/Mが, 筋機能低下を示す有効な指標と結論づけられた.

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© 一般社団法人 日本人間工学会
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