人工臓器
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大孔径膜における中・高分子量物質の透過性
小沢喜 久夫酒井 清孝
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1985 年 14 巻 1 号 p. 7-10

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抄録

従来の透析膜より高い分画分子量を有し, タンパク質を透過させる大孔往透析膜の溶質透過性を調べた。膜の溶質透過性は反射係数σ, 溶質透過係数Pmにより表わされる。そこでKF-101C(EVA膜, クラレ製)を用い, 流速変化法にて実験を行い, σ, Pmを測定した。また, 細孔理論とモジュール内物質収支式を組合せたモジュール内溶質移動モデルを考案し, モジュール効率を解析したところ, 分子量の小さい物質は拡散により物質の除去が行われ, 分子量の大きい物質は孔径の影響を強く受け, bulk flowにより物質の除去が支配される事がわかった。さらに, 臨床的な指標の1つである最大安定濃度を計算したところ, 小分子量物質の場合は(Ak/ΔX)に, 大分子量物質の場合は孔径により最大安定濃度が影響されることがわかった。以上より, 開孔率, 膜厚み, 孔径を組合せることにより, 対象とする物質の除去量を変化させることが可能である。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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