人工臓器
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血清電解質の透析膜透過性
小沢喜 久夫老沼 正芳河田 一郎酒井 清孝
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1985 年 14 巻 1 号 p. 158-161

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抄録

ダイアラィザーおよび透析膜に於ける体内電解質の移動特性の把握は、膜設計、ダィアラィザー設計、さらには血液透析システムの改善に寄与するところが大きい。本報では、ダィアライザーおよび透析膜での電解質透過性について、水溶液in vitro実験を行い、基礎的検討を加えた。また、機能性高分子膜である負荷電膜について同様の実験を行った。その結果、次の知見が得られた。(1) 電解質の膜透過性の大小は拡散係数、水和半径を考えれば定性的に説明できる。(2) 電解質の透析膜透過性は、非電解質と異なり膜構造のみに支配されず、膜構造、膜素材と電解質との相互作用に影響を受ける。(3) 負荷電膜の電解質透過性は、ダイアリザンスとして見た場合、膜の電荷の影響は極めて小さい。(4) 負荷電膜は負に帯電した高分子溶質をほぼ完全に阻止する。以上の結果のうち、負荷電膜については、(4) の理由より、臨床応用する場合、長期的な検討が必要と考える。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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