1985 年 14 巻 1 号 p. 491-494
血漿交換療法(以下、PPと略)の効果が顕著である疾患の一つとして、従来よりHyperviscosity syndromeが知られているが、粘度変化を追跡した具体的な研究は皆無である。本報では、PPにおける血漿および血液粘度(以下、粘度と略)を測定し、その動態のメカニズムの解明を試みた。血液成分変化の影響を除いた血液透析患者の粘度異常性の評価には、2つのパラメーター(V-factor、I. V. F.)が有効であることを、我々は既に報告している。本報でもこの手法を用いて解析を行った。PPに伴い粘度の絶対値はほとんどの症例で低下した。しかし、PP後ではHt値・TP値が低下している場合が多いため、V-factor、I. V. F. で評価を行なってみると、必ずしも改善されていない例が見られた。本質的な粘度の改善にはTP中のアルブミン組成の増加が寄与しており、特に血漿粘度への影響が著しかった。以上の結果から、V-factorおよびI. V. F. はPPを評価するパラメーターとしても有効であることがわかった。