人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
血漿交換療法における血液粘度変化の検討
―Hyperviscosity Syndromeに対する治療効果―
金森 敏幸竹沢 真吾酒井 清孝峰島 三千男太田 和夫
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 14 巻 1 号 p. 491-494

詳細
抄録

血漿交換療法(以下、PPと略)の効果が顕著である疾患の一つとして、従来よりHyperviscosity syndromeが知られているが、粘度変化を追跡した具体的な研究は皆無である。本報では、PPにおける血漿および血液粘度(以下、粘度と略)を測定し、その動態のメカニズムの解明を試みた。血液成分変化の影響を除いた血液透析患者の粘度異常性の評価には、2つのパラメーター(V-factor、I. V. F.)が有効であることを、我々は既に報告している。本報でもこの手法を用いて解析を行った。PPに伴い粘度の絶対値はほとんどの症例で低下した。しかし、PP後ではHt値・TP値が低下している場合が多いため、V-factor、I. V. F. で評価を行なってみると、必ずしも改善されていない例が見られた。本質的な粘度の改善にはTP中のアルブミン組成の増加が寄与しており、特に血漿粘度への影響が著しかった。以上の結果から、V-factorおよびI. V. F. はPPを評価するパラメーターとしても有効であることがわかった。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top