人工臓器
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RIを用いた中空糸透析膜の構造と溶質透過性の検討
酒井 清孝三村 理七竹沢 真吾
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1985 年 14 巻 1 号 p. 322-325

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抄録

市販中空糸透析膜の溶質透過性のデータは現在のところ皆無である。滲透圧の影響, 液境膜抵抗の存在, 中空糸透析膜の内径が200μときわめて小さいことなどのため, 平膜と違って測定法が困難なためである。分析法としては微量分析をしなければならないことから, Stevensonらは放射性同位元素(RI)でラベルした溶質を用いて中空糸透析膜の溶質透過性を実測する方法を考案している。そこで本報ではStevensonらの方法を改良し, 現在市販されている代表的な9つの中空糸透析膜の溶質透過係数を尿素, グルコース, シュクロース, PEG4000について実測した。そしてその値とすでに得られている濾過係数とから, 中空糸透析膜の孔半径を細孔理論から求めた。その結果再生セルロース系の中空糸透析膜は, 50~90Åの孔径を有することがわかった。また牛血を用いた時のダイアライザーの性能におよぼす限外濾過の影響, また孔径分布の溶質透過係数, 濾過係数におよぼす影響について検討した。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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