1985 年 21 巻 3 号 p. 109-116
周波数と振幅がともに周期的に変化するFM-AM音から知覚される平均的な高さ (主要調子) を, 調整法を用いた聴取実験により変調周波数の関数として測定した. FMとAMが同相と逆相の各場合における主要調子間の音程は, 変調周波数が4~7Hzの範囲ではほぼ一定で, 7~20Hzの範囲では変調周波数が速くなるほど増加する. 以上の実験結果を聴覚系の周波数変調に対する時間分解能を反映したものと考え, 以下の仮説をたてた. 聴覚系は7Hzまでの周期的周波数変調にはほぼ迫従できるが, これより速い周波数変調には追従することが困難になり, 知覚される周波数変化範囲は物理的範囲より狭ばまり, 同期して振幅が増大する周波数帯に偏る.