人工臓器
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各種滅菌法が透析膜の透過性および構造に与える影響
竹沢 真吾大海 伸二今野 義治酒井 清孝関口 守下起 幸郎高橋 剛
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1986 年 15 巻 3 号 p. 1346-1349

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抄録

ダイアライザーの溶質除去効率、透水性能は主に膜によって決定される。膜は滅菌法によってその構造が変化し、クリアランス、透水性能に変化を与える。そこで、TAF10、TAF10Mおよび、さらに含水率の高い膜を用いたダイアライザー2種、合計4種類のダイアライザーの、無滅菌、エチレンオキサイドガス、オートクレープ、γ線の4種類の滅菌についてクリアランスなどを調べた。その結果、TAF10、TAF10Mではドライ状態におけるγ線滅菌で性能が有意に低下した。一方、含水率の高い膜ではオートクレーブにて性能が有意に低下した。また、低分子量物質のクリアランス、含水率は滅菌法によらず一定とみなせた。細孔理論を適用して膜構造の変化を検討したところ、膜の孔径のみが変化していた。滅菌法は患者に与える影響を第一に考慮して決定すべきだが、膜設計は滅菌による膜性能の変化も考えて行うべきであることがわかった。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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