透析患者の体内電解質異常を是正するには, 電解質を体内へ付加あるいは体内から除去する装置であるダイアライザーでの電解質挙動を定量的に把握する必要がある。
本報では, Ca2+及び無機リンのダイアリザンスを単成分系透析実験により測定した。また, Na+, K+, Cl-の3成分系透析実験を行い, それぞれの電解質についてダイアリザンスを測定した。さらに, 臨床データからin vivoでのダイアリザンスを求め, in vitroのダイアリザンスと比較検討した。その結果, 水溶液in vitroでは電解質の移動が単に拡散だけでなく電気的相互作用に影響されること, またin vitroのダイアリザンスからin vivoのダイアリザンスを推算する事は難しく, さらに検討が必要であることが判明した。Ca2+, 無機リンについては, 分子の種類および対イオンによってダイアリザンスが異なった。