人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
セラミツク膜を用いた血漿分離法の検討
小沢 喜久夫酒井 清孝
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 15 巻 3 号 p. 1529-1532

詳細
抄録

管状型セラミツク膜、CERAVER, TOTO DOIT, TOTO MOIT, ISE 1093, ISE 1153Nを用いて血漿分離実験を行った。セラミツク膜の孔直径、空孔率を適切に選択すれば、高分子膜に近い濾過性能が得られることがわかつた。またタンパク質や血液有形成分により膜細孔が閉塞し濾過性能が低下した場合、1000℃2時間の熱処理、あるいは500ppmの次亜塩素酸ナトリウム洗浄により、膜性能が完全に回復することが確認された。実験データをもとに、血漿分離モジユールの設計を行ったところ、内径300μm, 長さ15cmのセラミック膜630本のモジユールを用いれば、QB=100ml/minでQF=30ml/minが得られることがわかつた。しかし、現在のセラミツク膜は膜が厚く、濾過流量、タンパク質分離能の経時変化が見られる。今回の実験結果より、(1)膜厚を100μm以下にする、(2)空孔率を40%以上にする、(3)スキン層を持つ非対称セラミツク膜の開発、など今後の改良点が明らかになつた。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top