人工臓器
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血液接触前後の血漿分離膜の構造変化
三村 理七大橋 英彦小沢 喜久夫竹沢 真吾酒井 清孝
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1986 年 15 巻 3 号 p. 1533-1536

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抄録

現在市販されている血漿分離膜の溶質透過係数を3H-waterを用いて測定した。その結果とすでに得られているろ過係数とから血漿分離膜の細孔半径をTortuous Pore Modelを用いて算出した。さらに、その値を走査型電子顕微鏡と水銀圧入法により得られた結果と比較検討した。その結果PoreModelと走査型電子顕微鏡により得られた細孔半径は900-2000Åであった。また開孔率は23-35%であった。水銀圧入法による細孔半径は、膜強度と細孔形状の点で不適当であった。走査型電子顕微鏡により細孔分布について検討した結果、孔径分布曲線は対数正規分布関数で表わされた。また、牛血液を用いた時の膜透過性におよぼすずり速度、ヘマトクリット、総タンパク濃度の影響について検討した。その結果、ずり速度の増加、ヘマトクリットの低下、総タンパク濃度の増加に伴い血液接触後のろ過係数は低下しにくくなった。それらの膜の細孔半径をPore Modelを用いて求めた結果、細孔半径の減少は20-100Åであった。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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