人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
血漿分画分離器に対する各種ふるい係数の妥当性
峰島 三千男阿岸 鉄三金子 岩和蓮尾 良博江良 和雄太田 和夫酒井 清孝
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 15 巻 3 号 p. 1575-1578

詳細
抄録

血漿分画分離器のような限外濾過器の溶質分離能を表わす指標としてふるい係数(SC)がしばしば用いられている。このSCはさまざまな定義により種々の形で提出されてきたが, いずれもみかけの指標であり膜を介した濃度比で定義される真のふるい係数とは異った値を示す。そこで本研究ではヒト血漿を用いたin vitro実験より真のふるい係数および膜自身の分離能を表わす反射係数を求めた。その結果みかけのSCはその定義により最大0.3の差異が認められ, さらに供給流量や濾液流量といった流量条件, partial discard法やrecycle法といった操作方式によっても大きく変化した。そこで臨床データから血漿分画分離器の性能を論ずる場合, 評価基準を厳格に定めるか, 少くとも条件, 方式を明記すべきものと思われた。得られた反射係数よリアルブミン, グロブリン間の分離に限界があることが明らかとなったが, 逆説的に言えば条件, 方式などの使用法で分離効率が異なることが示唆された。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top