人工臓器
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血漿分離用セラミックフィルターの設計
桜井 秀彦小沢 喜久夫液井 清孝
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1987 年 16 巻 2 号 p. 1112-1115

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抄録

セラミック膜を血漿分離に応用した時の最適孔直径および最適操作条件を決定するため、血液流量、膜間圧力差、管内径、管長、孔直径を変化させる濾過実験を行った。孔直径が1μm以上では、濾過流束、血漿タンパク質のふるい係数の孔直径による変化はほとんどなかった。孔直径が1.5μmの膜を用いても赤血球の漏出はみられず、孔直径分布が狭いことがわかった。濾過流束は、shear rateと管長さに依存し、孔直径と膜間圧力差にほとんど依存しなかった。これは、濾過抵抗が有形成分の濃度分極に支配されているためである。血漿タンパク質のふるい係数は、高shear rateと低膜間圧力差の時に高値を示し、赤血球層が溶質の透過の抵抗になっていることが示唆された。試験したセラミック膜は、内径が大きく、F. F. が小さい。濾過流束が現行の血漿分離膜より大きいこと、再生が可能であり繰り返し使用できることを考え合わせると、工業的血漿分離のような大量処理にセラミック膜は有利である。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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