日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的機械的砕石バスケットによる総胆管結石破砕の限界についての検討
宮本 正喜三戸岡 英樹誉田 芳孝永田 浩一広畑 成也末広 逸夫広瀬 良和佐伯 進玉田 文彦斉藤 寛武田 義敬江原 成禎馬場 茂明
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1987 年 29 巻 7 号 p. 1472-1479

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抄録

総胆管結石に対し,内視鏡的結石除去をより有効に,かつ安全に行うためにトルクメーター装置を備えた砕石バスケットカテーテルを考案した.手元操作部に装着したトルクメーターの表示は,先端のバスケット牽引力と有意な相関が認められたので,In vitroに,総胆管結石および胆嚢内結石の砕石を行い,砕石バスケットの使用限界をトルクメーター値で求めた.バスケット断線時のトルク値から安全率をかけることにより得られた安全限界は6.8kgf・cmであった.この安全限界内で,炭酸カルシウムやリン酸カルシウムを主成分とする結石の一部は砕石できなかった.In vivoにおいても,総胆管結石砕石患者19例に対し,砕石施行時のトルクメーター値と回収した結石成分との関係は,In vivoで得られた結果とよく一致していた.このことから,トルク値から逆に結石の性状をも推測できた.高い硬度の総胆管結石に際して,トルクメーター表示の安全限界内で砕石バスケットを操作することは,バスケット断線や,それによる総胆管損傷を回避でき,臨床上有用性が高いと考えられた.

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