人工臓器
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ハイフラックスダイアライザにおける血液接触後の透水能低下
津田 彰一竹沢 真吾酒井 清孝
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1988 年 17 巻 1 号 p. 115-118

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抄録

ハイフラックスダイアライザを含む9種類の市販中空糸型透析器を用いて、牛血漿接触前後の透水能を比較・検討した。また、各種透析膜への牛血清アルブミン(BSA)吸着量を、放射性同位元素を用いて測定した。いずれの透析膜でも血漿接触後の純水濾過係数は低下した。低下の度合は膜材質や純水濾過係数の値によって異なる。各膜へのBSA吸着量はPMMA>EVAL・CA>RCの順である。BK-1.0に用いられているPMMA膜のBSA吸着量、透水能低下率はともに著しく大きかった。これは、膜の孔直径が大きいため、アルブミンなどが膜細孔内に進入し、膜細孔が狭窄したためと考えられる。EVAL膜はBSA吸着量が少ないにもかかわらず、透水能低下率は大きい。これは孔入口にタンパク質分子が入り込み、有効孔個数が減少するためと考える。透水能の低下とタンパク質の吸着には、いずれも膜構造が大きな因子になると思われた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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