1988 年 17 巻 3 号 p. 1446-1449
外部灌流膜型人工肺は内部灌流膜型人工肺に比べて、液体の流動状態に違いがあることからガス交換能に優れていることが報告されている。今回、我々は牛血液を用いたin vitro実験を行い、CO2-水系の実験結果と比較することによって、内部および外部灌流膜型人工肺のガス交換特性の機構の解明を試みた。CO2-水系実験および牛血液実験において、外部灌流におけるガスの総括物質移動係数は内部灌流のそれに比べ大きな値を示した。血液1リットルに対する酸素の付加能力という点から見ると、外部灌流は内部灌流の約2倍の性能を示した。また、総括物質移動係数がレイノルズ数に依存することがCO2-水系実験において確認された。外部灌流膜型人工肺の灌流方式が血液側圧力損失を大きくすることなくレイノルズ数を増加させることが可能で、その結果液側境膜抵抗が減少し、物質輸送に有利に働いている。外部および内部灌流膜型人工肺のガス交換能の差を確認するのに、CO2-水系実験による基礎的検討が有用であった