日本歯周病学会会誌
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辺縁性歯周疾患の免疫病理学的研究
- 口腔内細菌による遷延感作と辺縁性歯周炎-
西田 健魚部 健市西川 哲成和唐 雅博和田 聖二田中 昭男筒井 正弘上田 雅俊山岡 昭
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1988 年 30 巻 2 号 p. 506-514

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抄録

辺縁性歯周炎の発症と経過に免疫現象が関与することが明らかにされている。その経過にみられる免疫現象は, 口腔内細菌による遷延感作あるいはより複雑な機序に基づくかもしれない。
著者らはヒトロ腔内細菌を用いてモルモットを遷延感作したところ, 特異抗体産生は, 3ヵ月後に最高に達し, それ以降は漸時減少した。また, 辺縁性歯周炎罹患者血清中のヒトロ腔内細菌に対する特異抗体と免疫グロブリン (IgG) 含有量, さらに自己歯肉組織に対する特異抗体が存在するかどうかを健常者血清中のそれらと比較して検索した結果, 細菌特異抗体量は平均値では増加の傾向を示すが, 極端な最高ならびに最低値の症例を除くと減少の傾向を, しかし免疫グロブリン (IgG) 含有量は増加を示した。そして歯肉組織に対する特異抗体は全ての症例において検出されなかった。
これらのことから, 本疾患の経過中に動物実験でみられたような遷延感作成立の可能性は否定的であった。

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