1988 年 30 巻 3 号 p. 887-900
抗プラスミン作用を有するトラネキサム酸, 血流改善作用を有する酢酸トコフェロール, 抗炎症, 抗アレルギー作用を有するβ-グリチルレチン酸に加えた従来の歯磨剤の歯周疾患予防効果を一層高める目的で, さらに収斂性抗炎症作用を有するオウバクエキスを主成分として配合した歯磨剤 (K歯磨剤) の検討をするため, K歯磨剤よりオウバクエキスを除いたアクティブプラセボである歯磨剤 (A歯磨剤) を対照に2重盲検法により臨床試験を行った。その結果, 両歯磨剤群間にはPMA index及び発赤に有意差が認められ, K歯磨剤に高い改善効果が認められた。また, 初回検診値に対する各検診値の平均減少率で比較しても, PMA indexではK歯磨剤群は37.1%, A歯磨剤群は30.4%, 発赤ではK歯磨剤群39.6%, A歯磨剤群28.6%で, いずれもK歯磨剤群のほうが高い平均減少率を示した。