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肺癌患者における血清中および気管支肺胞洗浄液中腫瘍マーカーの臨床評価
藤井 昌史木浦 勝行
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1988 年 42 巻 11 号 p. 1012-1016

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抄録

原発性肺癌71例, 良性肺疾患36例, 健常人100例において, 血清中および気管支肺胞洗浄液中の各種腫瘍マーカーを測定検討した. 血清中CEAは平均値10.9ng/ml, 陽性率43.7%であり, 良性肺疾患の1.6ng/ml, 8.3%に比べ有意に高値であつた. 血清中NSEで肺癌で平均値14.8ng/ml, 45.1%と良性肺疾患の6.5ng/ml, 11.1%に比べ有意に高値を示し, 特に小細胞癌では54.9ng/ml, 80.0%と著しく高かつた. 血清中TPAとIAPの陽性率は肺癌で有意に高かつたが, 良性肺疾患においても比較的高率であつた. 血清中ferritinとβ2MGでは肺癌と良性肺疾患の間に有意差を認めなかつた. 気管支肺胞洗浄液中のCEA, ferritin, β2MGの平均値はいずれも肺癌では良性肺疾患, 健常人に比べ有意に高値を示した. 今後, これら有効ないくつかの腫瘍マーカーを組み合わせることにより, 肺癌の補助診断としての有効性を高めることが期待される.

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