人工臓器
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人工赤血球(リピドヘム)のin vivo酸素運搬能
西出 宏之山本 希美子福澄 正規土田 英俊小林 紘一石原 恒夫
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1989 年 18 巻 1 号 p. 373-375

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抄録

長鎖アルキルリン酸コリン基を有するヘム誘導体(リピドヘム)はリン脂質二分子膜に包埋され小胞体を形成し、生理条件下で効率よく酸素を運搬できる。低酸素血症を人工的に作成した兎の腹腔内に酸素化したリピドヘム溶液150mlを灌流したところ、Svo2は20%から60%にまで回復した。呼吸を機械的に制御した犬においてリピドヘム溶液を脱血交換した。混合静脈血の酸素分圧(Pvo2)はリピドヘム溶液投与前30mmHgから投与後では44mmHgに上昇した。またリピドヘムによる酸素のう供給量(Vo2)は9.2ml/minで、赤血球によるVo2との比は両成分の血管内の濃度比に一致した。以上、人工赤血球のin vivo酸素運搬が定量的に確認できた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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