SJM弁閉鎖音周波数スペクトルをfast Fourier transform (FFT)法により検討した。閉鎖音の録音は第三肋間胸骨左縁で行い、A-Dコンバーターにてデジタル化した後、1KHz high pass filterを通過させFFT処理を行った。4例の正常と考えられた大動脈弁位SJM弁の閉鎖音は1.2KHz付近にピークを持ち、その後7.5KHzまで緩やかに減衰した。これに対し間歇的開放位固定をきたした肺動脈弁位SJM弁の1例と、1葉の開放角が低下した肺動脈弁位及び大動脈弁位SJM弁のそれぞれ1例では、2.5KHz付近に深いdipを認めた。血栓弁の早期発見の上でこの2.5KHz付近のdip形成は重要な意義を持つと考えられる。