1989 年 43 巻 8 号 p. 816-819
原発性肺癌991例のうち, 他臓器癌を合併した58例(5.9%)について検討した. 合併臓器は胃が最も多く, ついで喉頭, 子宮, 乳腺の順であつた. 頭頸部癌では喫煙との関連が示唆された. 二重癌のうち, 他臓器癌先行例では肺癌先行例に比べ, (1)発見間隔が有意に長い, (2)肺癌病期の進行例が多い, (3)肺癌関連死が多い, (4)生存期間中央値が短い, などの傾向がみられた. 重複癌として発生頻度の高い臓器での第2癌発生に対する早期診断, 早期治療が重複癌の予後の改善につながるものとおもわれる.