1982 年 3 巻 3 号 p. 113-119
ビスフェノールA型エポキシ樹脂と, ジアザクラウンエーテルとの反応により, クラウン環を主鎖中に含んだエポキシ樹脂を合成した。またそのアミン硬化による金属の接着性について検討を行なった。クラウン環を主鎖中に含んだエポキシ樹脂のアミン硬化接着系は, 通常のビスフェノールA型エポキシ樹脂と比較して, 引張り勢断接着強度で1.5~2倍程度, T形剥離接着強度で3~6倍程度の強い接着強度を有していることがわかった。またビスフェノールA型エポキシ樹脂と, ジアザクラウンエーテルを単に混合してアミンで硬化したものは, 硬化物が均質透明とならず接着強度もあまり大きくならない。この接着強度の向上が, 硬化物系内にオキシエチレンユニットを導入したために起ったのかどうかを検討したが, クラウン環を含んだエポキシ樹脂の硬化物は, ただ単に直鎖のオキシエチレンユニットを導入した場合よりも, さらに可撓性が大きくなっていると考えられる。また, クラウン環を含んだエポキシ樹脂は, 第3アミンの構造を有しているので, それを触媒として硬化剤なしで硬化を行ない, その接着強度を測定すると, アミンで硬化したのと同程度の接着強度が得られた。