バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
研究
装具機能と片麻痺歩行との関連性について
—運動学および動作筋電図学的解析から—
関川 伸哉関 和則山本 澄子市江 雅芳
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2003 年 27 巻 2 号 p. 87-94

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抄録

本研究では, 装具機能と片麻痺歩行との関連性を明らかにすることを目的とし, 10名の片麻痺者を対象に裸足および装具機能の異なる2つのAFO(AFO-1, AFO-2)を用い身体運動の計測を行った. また, 身体運動の変化を引き起こしている生体内筋活動の変化を把握するために, 麻痺側下腿の動作筋電図学的解析を行った. AFO-1は, 足関節の内外反のみを制御し補助モーメントは発生しない. 一方, AFO-2は, 内外反の制御に加え背屈方向補助モーメントを発生する機構を有している. 実験の結果, 裸足, AFO-1, AFO-2の順番で歩行速度は, 立脚期, 遊脚期の双方で有意に高い値を示していた. また, 裸足, AFO-1, AFO-2の順番で麻痺側下腿筋活動は, 立脚期ではGL, 遊脚期ではTAに有意な高い値を示していた. したがって装具の背屈補助モーメントは, 片麻痺者の麻痺側下腿の筋活動および歩行に著明な変化をもたらすことが明らかとなった.

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© 2003 バイオメカニズム学会
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