1986 年 32 巻 3 号 p. 130-133
1価から5価までのアルコールおよびDMSOを凍結保護剤として,8細胞期胚から中期胚盤胞までのマウス胚を凍結し,それらの保護効果を調べ,同時に凍結保護剤の除去法についても検討した。凍結保護剤は最終添加濃度を1.5Mとして5段階に分けて添加しプログラムフリーザーで凍結した。胚の融解は37°C温湯中で行い0.5Msucrose溶液に浸漬させるか(sucrose法),あるいは直接PBSに浸漬させて(PBS法)凍結保護剤を除去した。
その結果,methylalcoholおよびadonitolは今回の条件では凍結保護剤として不適当であるがethyleneglycol,glycerolおよびDMSOは有効であることがわかった。また,erythritolおよびxylitolを使用した場合にはsucrose法によって除去した時にのみ生存胚が得られたが,ethyleneglycolを使用した時にはPBS法でもsucrose法と同様に高い生存率が得られた。