再生セルロース膜に対するγ線の影響を知るため、照射線量を3点変えて検討した。その結果、乾燥状態で照射した場合、透水性能、中分子量物質のクリアランスが大きく低下した。一方、γ線照射時にダイアライザー内部に純水を満たした場合は、透水性能、クリアランスが減少しなかった。しかし、いずれの場合においても溶出液中には膜の劣化によると思われる物質が検出された。この物質は乾煤状態と湿潤状態とで異なり、乾燥状態では分子量数千の物質が、また、湿潤状態では分子量数十万の物質が検出された。溶出液のpHはいずれも低下し、水素イナンの生成が認められた。膜強度を知るためオートグラフを用いて最大破断加重、伸長率を測定したところ、湿潤状態の照射で著しい低下がみられた。以上の結果より、γ線による滅菌は透水性能、中分子量物質のクリアランス、膜の強度を十分検討した上で行うべきであると思われる。