人工臓器
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膜蒸留を用いた血液からの水分除去における透水能と膜の劣化
室井 利仁小谷 野武小沢 喜久夫田村 真紀夫酒井 清孝
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1987 年 16 巻 2 号 p. 729-732

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抄録

疎水性多孔質膜を用いた膜蒸留法は近年海水の淡水化、アルコール濃縮等の分野で注目を集めている。膜蒸留法は従来の純水製造法と比較してエネルギー効率がよく、透過水量が大きいという利点を持つ。また膜の両側の液相蒸気圧差により溶媒のみを透過させる方法であるため、原液中の溶質は膜を透過しない。膜蒸留法の医療面への利用は本研究が始めての試みであるが、除水コントロールシステム、医療用純水の製造及び透析液の再生に応用可能と考える。本報では四フッ化エチレン(PTFE)及びニフッ化ビニリデン(PVDF)を用いた膜蒸留法にて、牛血漿、牛血液及び透析液廃液からの除水実験を行った。その結果、膜蒸留法の透過流束は逆浸透法より優れ、溶質の漏出が殆どないことを確認した。また膜の経時的性能低下が少なく再生可能であること、透水性が膜厚、空孔率といった膜構造に依存することがわかった。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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