人工臓器
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血液浄化膜の構造と透過性
酒井 清孝
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1987 年 16 巻 3 号 p. 1169-1172

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抄録

人工膜は現在広い分野で注目されており、機能性膜として医療分野で大量に用いられている。そのほとんどが中空糸透析膜であるが、日本においては使い捨てを義務づけられているために消費量は多い。血液透析膜として年間使用される膜面積は約0.3億m2、年間浄化される血液量は約20億リットルにも達する。この中空糸透析膜の膜構造については不明な点が多く、製膜は試行錯誤で進められてきた。膜構造が明らかにされれば、製膜が容易となり、どの製膜条件を動かせば膜構造がどう変化し、それがまた透過性にどう影響するかが明らかになる。そしてより科学的に膜分離を行うことが可能となる。精密濾過膜はSEMによって表面を直接観察することが可能であるが、透析膜と限外濾過膜の細孔は未だ観察されていない。そのため膜構造に関するモデルが不可欠であるが、現在までに細孔モデルが提案されている。これを修正した迷宮細孔モデルを用いて市販中空糸透析膜の構造を検討した結果を提示する。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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