人間工学
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識別しやすい点字の形状に関する研究
林 美恵子鴨田 真理沙藤本 浩志
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2003 年 39 巻 3 号 p. 117-122

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抄録

点字は, 視覚障害者の文字として最もポピュラーな視覚代行手段である. しかし点字識字率は低く, その背景には, 点字が小さいため読みとりにくく, 点字の習得が困難であるという問題がある. 現在製品化されている点字プリンタなどはその機種によって様々な点の形状や高さをもつ. しかしこの点字パターンが触読に影響を及ぼすことが知られており, 使用機種によって読みやすさに違いが出てくる. そこで本研究では, 初心者に読みやすい点字パターンを明らかにするため, 点の断面形状・高さ・間隔が識別容易性に与える影響を調べた. 実験には点字触読経験のない晴眼者に参加してもらい, 3つの因子を任意に組み合わせた様々な点字パターンでの弁別課題を行った. 実験の結果, 断面形状によって, 高さの効果と点間隔の効果がそれぞれ異なり, 各因子がそれぞれ識別容易性に影響することが示された. これは, 読みやすい点字に対して有用なデータとなりうると思われる.

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© 一般社団法人 日本人間工学会
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