2003 年 92 巻 7 号 p. 1279-1283
特発性肺胞蛋白症は末梢気道にサーファクタントが貯留する希な疾患である. 1994年,顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)欠損マウスは肺胞蛋白症を発症することが報告された.このマウスの肺胞マクロファージには分化障害があり,その結果,サーファクタントの分解が障害され,発症する.次いで,筆者らは, 99年,病原物質として患者の肺及び血液に抗GM-CSF自己抗体が大量に存在することを明らかにした.これらの成果をふまえて,近年治療法としてGM-CSFの連日投与が有効であることがわかり,我が国でもGM-CSF吸入による重症特発性肺胞蛋白症の治療研究が開始された.