日本歯周病学会会誌
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歯周組織破壊と歯列の変化との関係
萩原 正剛内藤 徹日高 理智横田 誠
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2003 年 45 巻 2 号 p. 180-192

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抄録

本研究は, 本教室が過去に明らかにしてきた歯の移動に関する病態生理にもとづき, ヒトにおいて頬圧や舌の影響を受けていると考えられる頬舌的な方向への歯の移動にも, 歯周組織破壊が影響を及ぼしているかについて明らかにすることを目的として行った。歯周病患者62名における1, 538歯を対象とした。歯周組織破壊度のパラメータとして, 初診時のPPD, PALの測定を行った。初診時スタディモデルの咬合面観をコンピュータに取り込み, 画像処理ソフトScionIrnage® (Scion Corporation) を使用して, 各模型での上下顎の仮想歯列弓を設定した。仮想歯列弓より逸脱した歯の変位方向の検索を行い, ノンパラメトリック検定を用いて, 変位を生じている群の頬側面と舌・口蓋側面におけるパラメータと変位方向との関係について, および変位を生じていない群と変位を生じている群における頬側面と舌・口蓋側面の違いについて検討した。頬側へ変位した群は上顎および下顎前歯部の舌・口蓋側で, 舌側へ変位した群は下顎前歯部で頬側に有意な歯周組織破壊を認め, 本教室における過去の病的移動の実験結果を支持した。一方, 下顎小臼歯, 大臼歯部では炎症部位との関連性を認めなかった。この結果は, 同部位に筋力などの他の阻害因子があることを示唆した。

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