日本補綴歯科学会雑誌
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実験用口蓋床が厚さの弁別能に及ぼす影響
材質および厚さによる変化
古谷 暢子吉仲 正記小野 高裕野首 孝祠
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2003 年 47 巻 1 号 p. 20-27

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抄録

目的: 本研究の目的は, 硬口蓋を被覆することが厚さの弁別能にどのような影響を与えるかを検討することである.
方法: 習慣的な喫煙経験がなく, 歯の欠損が認められない10名 (男性6名, 女性4名, 平均年齢24.7±2.2歳) を被験者として用いた.まず実験Iでは, 実験床の材質による影響について検討した.実験用口蓋床として, 硬口蓋を被覆する厚さ1.5mmのレジン床と金属床を製作した.各床装着時の厚さの弁別閾値は, 厚さ3mmを基準片とし, 0.2mmずつ薄くなる下降系列と0.2mmずつ厚くなる上昇系列の, 厚さのみが異なる9段階の比較片を測定した.次に実験IIでは, 実験床の厚さによる影響について検討した.厚さ1.5mmと厚さ0.5mmの2種類の実験床を製作し, 各床装着時と非装着時において, 実験1と同様に厚さの弁別閾値を測定した.
結果: レジン床装着時と金属床装着時では, 上昇系列および下降系列のいずれにおいても厚さの弁別能に有意差は認められなかった.床の厚さを変化させた場合, 下降系列においては, 1.5mm床装着時は非装着時と比較して有意に弁別能は悪くなり, 0.5mm床装着時は1.5mm床装着時と比較して, 有意に弁別能は良くなる傾向を示した.
結論: 厚さを薄くすることが可能である金属床の選択は, 口腔感覚の点から考えて有用であることが示唆された.

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