日本補綴歯科学会雑誌
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遊離端義歯の各種支台装置が支台歯への側方力と義歯床の変位に与える影響
権田 知也福井 友竹村 有史董 堅小野 高裕野首 孝祠中山 博帥高見 恭子
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2003 年 47 巻 1 号 p. 86-94

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抄録

目的: 本研究の目的は, 井上アタッチメントとその横揺れを制限する機構を備えた試作品について, クラスプとの比較も含めて, 模型実験を行い, 支台装置の種類が支台歯に加わる側方力と義歯床の変位に与える影響を明らかにすることである.
方法: 実験に用いた支台装置は, いずれも4, 5を支台歯とする (1) エーカースクラスプ,(2) 双子鉤,(3) 井上アタッチメント3号,(4) 試作アタッチメントの4種類とし, 45全部鋳造冠と部分床義歯 (67欠損) を製作し, 義歯咬合面に49Nの荷重を加え, 計測を行った.計測項目は, 支台歯に加わる側方力および義歯床の変位とした.
結果: 支台歯に加わる側方力は, 4支台歯において6と7の荷重時に, 試作アタッチメントがほかの支台装置に比べて有意に大きくなり, また, 5支台歯において7荷重時に, 試作アタッチメントが井上アタッチメントに比べて有意に大きくなった.義歯床の変位は, 6荷重時に, 双子鉤に比べて試作アタッチメントが有意に小さくなった. また, 7荷重時に, エーカースクラスプに比べて, 井上アタッチメント, 試作アタッチメントが有意に小さくなった.
結論: 井上アタッチメントと試作アタッチメントは, エーカースクラスプと双子鉤に比べて, 義歯床の変位が小さく安定が得られやすいが, 試作アタッチメントは, ほかの支台装置に比べて支台歯に加わる側方力が大きくなり, 支台歯への負担軽減に対して, レストを設けるなど設計上注意する必要があることが示唆された.

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