AUDIOLOGY JAPAN
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聴性誘発反応検査の現状と将来
青柳 優
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2003 年 46 巻 3 号 p. 181-194

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抄録

聴性脳幹反応 (ABR) を中心に聴性誘発反応の臨床応用の現状と将来について述べた。 聴性誘発反応の臨床応用は, 神経学的応用と聴力検査法としての応用に大別される。 神経学的応用としては, ABRが聴神経腫瘍, auditory neuropathyなど聴神経や脳幹障害の診断に重要であるが, 聴神経腫瘍では15%程度の症例で異常所見を認めないことが指摘されている。 脳死の診断では難聴の存在などで診断的意義に制限があり, 術中モニタリングでは時間がかかるという欠点がある。 聴力検査法としては, ABRが乳幼児の他覚的聴力検査法として定着し, 最近では自動ABRが新生児聴覚スクリーニングに用いられて成果を挙げている。 また, 聴性定常反応の一種である変調周波数追随反応 (AMFR) は周波数特異性の高い検査法であるが, FFTを応用した検出法によって臨床応用され, AMFR閾値のみで聴力像が描けるようになってきた。

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