下痢の病態解明のため新生子牛の糞性状を生化学的に検討した.ホルスタイン種の新生子牛38頭を用い, 出生当日 (胎便) から9週齢の問に延べ101例の糞を採取し, p H, アンモニア, 尿素, 乳酸および揮発性脂肪酸 (VFA) を測定した.上記のうち正常便は60例で, 18例は軟便-下痢 (下痢便とする), さらに重度な水様便が23例あった.胎便では以後の糞にくらべて尿素濃度が著しく高く, アンモニアおよびVFAが低く, それは酢酸のみであった.2日-1週齢には乳酸濃度が高く, p Hの低い例が多かった.生後はアンモニアやVFA濃度の上昇をみた.p Hの低い下痢便や水様便ではVFAが高かったが, 乳酸は必ずしも高くなかった.糞のアンモニアとVFA濃度には正の相関が認められた.