日本救急医学会雑誌
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実験的発作性頻拍時の胃粘膜二酸化炭素分圧の連続モニタ
崎尾 秀彰上野 和徳関口 哲志永井 裕子
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2003 年 14 巻 9 号 p. 433-439

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抄録

過大な侵襲が加わると消化管粘膜は早期から組織低酸素に傾きやすく,その悪化は生存率にも影響する。臨床的な指標として胃粘膜PCO2 (PiCO2)があり,消化管に留置したシリコンバルンの生理食塩水PCO2から算出するトノメトリ法(PiCO2-TONO)が開発されたが,間接法であり,手技上の煩雑さもある。今回,ion-sensitive field effect transistor (ISEFT)センサを用いたPiCO2 (PiCO2-ISFET)の直接測定装置を開発したので両者について比較した。麻酔下に人工呼吸管理したイヌ(n=9)を用い,3時間の急速心室ペーシングによる発作性頻拍モデルを作製した。心室ペーシングにより動脈圧は軽度に低下した。動脈血,混合静脈血および呼気終末のPCO2は心室ペーシングにより上昇した。PiCO2-TONOおよびPiCO2-ISFETは,それぞれ67~72mmHg(基礎値56±5)および79~84mmHg(基礎値62±5)に上昇し,両者は相関(r2=0.53, p<0.01)したが,両者間に有意差(p<0.05)を認めた。Bland-Altman解析ではbias 8.5mmHg, precision 7.7mmHgであった。PiCO2-ISFETはPiCO2-TONOよりも高値を呈し,後者では過小評価の危険性があるのではないかと推察した。一方,ISFETセンサによる方法は自動的,連続的に実測値が表示され,簡便な応答性の優れた測定法であると考えた。

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