園芸学会雑誌
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CattleyaとCymbidium葉の色素含量および抗酸化酵素活性に及ぼす紫外線の影響
趙 習コウ李 進才松井 鋳一郎前澤 重禮
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2003 年 72 巻 5 号 p. 446-450

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抄録

Cattleeya (SophrolaelioCattleya Estella Jewel 'Kazu-mura')とCymbidium (Cymbidium Sazanami 'Haruno-umi')をUV透過性の異なる2種類のビニールフィルム被覆下(強UV区および弱UV区)で8月1日から60日間栽培し,2年生葉の色素含量および抗酸化酵素活性の変化に及ぼす太陽光のUV放射照度の影響を検討した.葉中のクロロフィルとカロテノイド含量は,Cattleyaでは処理40日目以降,Cymbidiumでは処理20日目以降,強UV区において弱UV区より低い値で推移した.フラボノイド含量は,Cattleyaでは処理20日目以降,強UV区より弱UV区で高い傾向にあったが,Cymbidiumでは逆に処理20日目以降,強UV区の方が高い値を示した.Cattleyaでは弱UV区に比べて強UV区のアスコルビン酸ペルオキシダーゼ(APX)活性は処理10日目以降,カダラーゼ(CAT)活性は処理20~40日にかけて高い値で推移した.一方,CymbidiumではスーパーオキシドジスムターゼおよびCAT活性は弱UV区より強UV区で処理20日目以降低い値で推移し,APX活性も強UV区で低い値を示す傾向がみられた.以上の結果より,強UV条件が色素含量および抗酸化酵素活性に及ぼす影響は両植物種で異なり,UV放射照度に対する両植物種の抗酸化機能の応答性の違いが示唆された.

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