日本腹部救急医学会雑誌
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術前診断し得た閉鎖孔ヘルニアの3例
中村 慶春田尻 孝江上 格柏原 元高崎 秀明内田 英二笠井 源吾
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2003 年 23 巻 6 号 p. 991-994

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抄録

症例1: 80歳, 女性. 悪心嘔吐にて来院した. 右大腿部内側に圧痛が認められ, 同部の超音波, CT検査にて右閉鎖孔ヘルニア嵌頓と診断した. 症例2:77歳, 女性. 2年前より股関節痛が左右交代性に認められていたが経過観察されていた. 今回左股関節痛を伴ったイレウスを発症し, 超音波, CT検査にて左閉鎖孔ヘルニア嵌頓と診断した. 症例3: 96歳, 痴呆症を伴った女性. 心不全で入院加療中に突然イレウス症状が出現した. 局所所見, Howship-Rombergsignが認められなかったため診断に難渋したが, イレウス管にて減圧後, 小腸造影, CT検査を施行し左閉鎖孔ヘルニア嵌頓と診断した. 全例腹腔法にてmeshinlay法を施行した. 症例2は腹腔鏡下に観察したところ, 対側の閉鎖孔ヘルニアと内鼠径ヘルニア合併例と診断し得た. 以上, 術前に診断し得た3例の閉鎖孔ヘルニアを経験した (内1例は既報例) ため, 本疾患の基本的な対応にっいて考察した.

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