2003 年 46 巻 5 号 p. 444-456
我々は, 2002年1月より4月までに東京都内9医療機関で実施したスギ花粉症に対するラマトロバン (バイナス (R) 錠) の効果を第1報で報告した。今回は, 本研究で得られた成績をもとにラマトロバンがどのような患者に対して効果が期待できるのかを検証するために, より詳細な検討を行った。ラマトロバンはスギ花粉症患者に対する初期治療により患者の病型, 重症度及び重複抗原の有無にかかわらず, くしゃみ, 鼻漏および鼻閉症状ならびに日常生活の支障度を効果的にコントロールすることが可能な抗アレルギー薬であり, 特にくしゃみおよび鼻閉症状に対しては花粉飛散後治療であっても症状の抑制効果が期待できるものと考えられた。すなわち, 患者個々の症状やニーズに対して最適な治療戦略を立てる上でラマトロバンは適用範囲の広い薬剤であることが示された。また, ラマトロバンは眠気等の中枢神経抑制性の副作用がほとんどみられないことから, 患者のQuality of Lifeだけでなく, 服薬コンプライアンスを向上させる意味においても花粉症治療に適した薬剤であると考えられる。