植物工場学会誌
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V字型整枝されたナスを対象としたロボット収穫システム (第2報)
ナスの収穫実験
林 茂彦雁野 勝宣黒崎 秀仁有馬 誠一門田 充司
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2003 年 15 巻 4 号 p. 211-216

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抄録

施設内の栽培環境下でナスの選択収穫の自動化を実現するため, ロボット収穫システムの視覚センサと距離センサを融合させ収穫適否を判定したのち, 果柄を挟持して採果する収穫処理手法を開発した.そして, ロボット収穫システムの性能を評価するため, V字型整枝されたナスの収穫実験を行った結果, 以下の知見が得られた.
1) ロボット収穫システムは, V字型整枝されたナスの畝間を走行し両側にある果実を選択的に収穫でき, その収穫成功割合は29.1%であった.収穫できない主な原因は果実が茎葉に隠れ畝間から見えないことであった.また, ローカルセンシングにおいて収穫適否を誤判定することがあった.
2) 採果動作でエンドエフェクタが果実に接触して果皮に損傷を与えることはなく, 果柄挟持用下刃は有効であった.しかし, 果柄挟持用下刃の隙間より細い部位を挟持した場合には, 収穫箱への搬送途中に果実を落下させることがあり, 改良の必要性が認められた.
3) ロボット収穫システムによる1果あたりの収穫処理時間は43.2s/果であり, 作業能率は14.9m/hであった.今後, 実用化に向けては収穫適否の処理時間の短縮, 隣接する畝間への移動方法, 収穫果実の運搬方法を検討する必要がある.

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© 日本生物環境工学会
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