日本食品科学工学会誌
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揚げ物および揚げ油の風味と極性化合物量の関係
原 知子安藤 真美伊藤 知子井上 吉世大塚 憲一大野 佳美岡村 由美白砂 尋士高村 仁知武智 多与理露口 小百合中原 満子中平 真由巳西池 珠子林 淑美深見 良子藤村 浩嗣松井 正枝的場 輝佳水野 千恵村上 恵山下 貴稔湯川 夏子渡辺 健市
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2004 年 51 巻 1 号 p. 23-27

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抄録

酸価1∼4.5の段階的に劣化度が異なる劣化油1,2,3を用いて,揚げ玉,まいたけの天ぷら,コロッケを調製し,揚げ物および揚げ油の官能評価による風味とPCテスターによる極性化合物量の関係について検討した.
1.新鮮油,劣化油1,2,3の4種の劣化程度の異なる油及びそれらで調製された製品の風味に有意差が認められた.これら4種の油は酸価,粘度,極性化合物量が段階的に異なるもので,揚げ玉,まいたけの天ぷら,油自体の風味の評価結果は,これらの要素と対応した.新鮮油,劣化油1,2,3の順に風味評価は低下したが,劣化油1から極性化合物量15%の劣化油2の間で低下が顕著であった.また,劣化が進行した油において官能評価ではその違いが認め難くなる傾向にあった.コロッケでは油の劣化による風味評価の低下は小さかった.
2.揚げ玉やまいたけの天ぷらでは極性化合物15%程度まで,コロッケでは,25%程度まで風味評価のよい揚げ物を調製できた.
3.極性化合物量15%以上で風味評価が低下するとともに風味の劣化度合いを弁別し難くなる傾向があったことから,栄養的にも嗜好的にも,揚げ油の極性化合物量を15%以下で管理するのが適当であると考えられた.

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