日本補綴歯科学会雑誌
Online ISSN : 1883-177X
Print ISSN : 0389-5386
ISSN-L : 0389-5386
閉塞型睡眠時無呼吸症患者における睡眠時咬筋筋活動
猪子 芳美大沼 智之森田 修己
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 48 巻 1 号 p. 59-66

詳細
抄録

目的: 睡眠時呼吸障害と睡眠時ブラキシズム (Nocturnal bruxism: NB) との関係は, いまだ明らかにされていない.本研究は, 無呼吸低呼吸発作と咬筋収縮 (Masseter contraction: MC) との関連性を検討することである.
方法: いびきを主訴とした患者25名 (女性9名, 男性16名) に終夜睡眠ポリグラフィを施行した.咬筋筋電図の解析は, 睡眠検査前の最大噛みしめを基準とし, 断続的咬筋収縮 (PhasicMC) と持続的咬筋収縮 (TonicMC) に分類し, 3秒以上持続したものを咬筋収縮1回とした.分析は, 睡眠呼吸障害の重症度を示す指数 (Apnea hypopnea index: AHI, Apnea index: AI, Arousal index: ArI) と咬筋活動の指数を求め, 両者の相関を調べるために, Spearmanの順位相関を用いた.
結果: MCは, 睡眠Stage1, Stage2, Stage REM (Rapid eye movement) で多く認められ, 無呼吸期には認められなかった.無呼吸低呼吸発作直後のMCはTonic MCが優位を示し, 無呼吸低呼吸発作直後のMC指数とTonicMC指数は, AHI, AI, ArIとの問で有意な相関を認めた.
結論: OSAS患者におけるMCの実態が提示され, i無呼吸低呼吸発作直後のMCが無呼吸低呼吸発作の重症化に伴って増加したことから, OSAS患者におけるMCの発現には, 無呼吸低呼吸発作の関与が示唆された.

著者関連情報
© 社団法人日本補綴歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top