日本健康教育学会誌
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高齢者大学でのストレス・マネジメント教育の短期的効果
中村 菜々子松尾 直子竹中 晃二
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2003 年 11 巻 1 号 p. 13-22

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抄録

高齢者を対象としたストレス・マネジメント教育の重要性はよく知られているものの, 日本で高齢者を対象にしたストレス・マネジメント教育についての実践はまだ少ない.本研究の目的は, 日本の地域高齢者のある集団に対して, 1セッションのストレス・マネジメント教育を実施することであった.対象者 (N=37) は, 某市が運営している高齢者向けの教育センターで毎月1度実施されている授業の一部として, 1セッションのストレス・マネジメント教育プログラムに参加した.対象者はストレスの仕組み, アクティベーション及びリラクセーション技法について学習した.日本語版Iceberg Profile (IP) が, 介入前, アクティベーション後, そしてリラクセーション後 (介入後) に測定された.2要因の分散分析 (性別×測定時期) を実施した結果, IPは, 疲労とTotal Mood Disturbance (TMD) についてアクティベーション後とリラクセーション後とで有意に減少した.怒り-敵意と活気については有意な変化は見られなかった.また, 交互作用が一部に見られ, 女性の対象者は, 男性の対象者と比較して, 緊張-不安, 抑うつ-落ち込み, 混乱, 及びTMDが改善を示さない傾向にあった.結果は, 1セッションであっても, 地域高齢者を対象としたストレス・マネジメント教育がストレス反応を和らげる可能性を示唆するものである.今後は, 高齢者を対象にしたストレス・マネジメント教育について, 内容の困難度やプログラムの長さなどについてさらに詳細な情報が必要である.

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