日本歯周病学会会誌
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原著
高齢者における歯周組織の状態と血清IgGサブクラスとの関連
小林 孝雄中島 啓介葭原 明弘宮崎 秀夫小鷲 悠典
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2004 年 46 巻 1 号 p. 31-38

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抄録

これまで, 多くの研究者により血清IgGサブクラス量と歯周炎の病態との関連が報告されてきた。本研究では, 人種, 年齢, 喫煙の影響を取り除いた状態つまり高齢日本人の非喫煙者を対象とし, 血清IgGサブクラス量と歯周組織の状態に関連があるかを明らかにすることを目的とした。1999年4月の時点で新潟市に住民票を有する71歳の高齢者451名から、 無歯顎者および喫煙者を除外し340名の有歯顎の非喫煙者を被験者とした。有歯顎の非喫煙者を残存歯の少ない群 (19本以下) と多い群 (20本以上) の2群に分け, 歯周組織状態と血清データの比較を行った。その結果, 残存歯の少ない群では残存歯の多い群に比べて, アタッチメントロス量が4mm以上の部位の割合, 血清IgG1量が有意に高く, 血清IgG2-4量は有意に低かった。また, 残存歯数と血清IgGサブクラス量との相関を調べた結果, 残存歯数と血清IgG1量の間に有意な負の相関が認められた。これらの結果から, 高い血清IgG1量と残存歯の減少の間に何らかの関連がある可能性が示唆された。歯周組織破壊における血清IgG1の役割をさらに詳細に解明するためには, 縦断的研究が必要となるであろう。

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© 2004 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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