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酸素安定同位体比および主要イオン濃度を用いた新潟県の河川水・地下水の動態評価
狩野 直樹佐藤 明史今泉 洋
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2004 年 53 巻 7 号 p. 415-425

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抄録

新潟県における近年の環境水の同位体的・化学的特徴についての知見を得ること, 更には環境水動態の新たな評価方法を確立するため, 新潟県のいくつかの河川水や地下水について, 酸素安定同位体比 (δ18O) 及び主要イオン濃度, pH, 電気伝導度の測定を行った。その結果, 以下のことが明らかになった。 (1) 河川水中のδ18O値は, 概ね-11‰~-10‰の値を示す, (2) 地下水のδ18O値は, 河川水より平均1.5‰程度高く, また年間の変動幅も±1.0‰程度と小さい, (3) 河川水上流部近傍の地下水よりも河川水下流部近傍の地下水の方が, 年間を通して高いδ18O値及び電気伝導度を示す, (4) 大部分の主要イオンにおいて, 夏期と冬期に, その濃度が高くなり, 春期に濃度が低くなる傾向を示す, (5) 周辺地下水の主要イオン濃度の方が河川水の主要イオン濃度より全体的に高い値を示す, (6) 河川水において, 上流から下流に向かうにつれ, 主要イオン濃度は高くなる傾向を示す, (7) 河川水におけるδ18Oと電気伝導度との相関関係は, 上流部ほど (下流部に比べて) 良い (上流部ほど両者の相関係数が高い) 。

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