RADIOISOTOPES
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全方向性γ線検出器の開発
白川 芳幸
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2004 年 53 巻 8 号 p. 445-450

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抄録

放射性物質や汚染の存在位置を遠隔で探査するためにはγ線の入射する方向を知る必要がある。この要求に応えるため, 積極的に入射方向感度を高めた新型の検出器が開発された。この検出器は, 3種類のシンチレータと光電子増倍管より構成される。シンチレータの種類は, NaI (Tl) , CsI (Tl) , BGOである。それぞれのシンチレータは120度の扇形をしている。3種類のシンチレータを光学的に結合して一つの円柱形シンチレータを作る。γ線は検出器中のそれぞれのシンチレータに直線的な経路で入射し, そして経路の長さは検出器に対する方向によって変化する。各シンチレータにおける光電効果を生じる確率も入射方向によって変化する。それゆえ, 多重波高分析器で得られたスペクトルに観察される三つのピークの計数も方向に依存する。各シンチレータに対応したピーク計数と方向に関する応答曲線が, 137Csを用いた実験によって得られた。これらの応答曲線は入射方向0~360度の全範囲で感度を有することが明らかになった。このことによって, 提案した検出器による入射方向の識別の可能性が示された。

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